満開、妖気したたるばかりの、桃の季節───

 物売りの声にぎやかな植部の門前市に、煙のように現れた男ひとり、かわらけ売りと狛犬の間のわずかな隙間に風呂敷を広げたと思うと、得体のしれぬ小物を並べはじめた。立ち停まって眺めれば、ひとつひとつそれなりの細工が凝らされていることは容易に知れたものの、何に使うものか皆目わからぬところもまた共通している。唯一の例外といえば、男が妙に真剣な顔で物の配置を決めているあいだ狛犬の台座に立て掛けておいた釣竿らしい細い竹の棒だったが、風呂敷の上の配置に満足するやいなや、彼はそれだけを担いでさっさと人込みの中に消えてしまった。やはり売り物ではなかったらしい。

 

ぷろめてうす温泉とは?
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