11月号 

  雪が降ってから山田が篭りがちで寂しいので図書館でリス本を漁っていたら、カンザス州の土地使用管理局が発行した小さなパンフレットを見つけた。たった四 ページなのに、専門書が十何ページも使う内容を、誰でも読める言葉で平易かつ簡潔にまとめている。余計なことは何も言っていないのに、そこはかとなく味が ある。やはり税金を使って印刷する文章というのはこうでなくてはならんと思う。リンボーダンスをしながら股間から富士山を眺めて喜ぶような変態的文章ばか り書いている私も多少反省せねばならんと思う。ちなみに今朝の山田はこんな感じだ。



カンザスにおけるリスの居住環境調整 
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キツネリス(学名 Sciurus niger) はカンザス州の樹林地帯において最も一般的に見られる哺乳動物の一種である。キツネリスの棲息地域は、東は大西洋岸から西はテキサス、オクラホマ、カンザス、ネブラスカ、南北ダコタの諸州に至っている。灰色リス(Sciurus carolinesis) は主として合衆国の樫やヒッコリーの樹林地帯に棲み、東カンザスでは彼らの居住域および棲息数は限られている。基本的に、キツネリスと灰色リスは行動様式や棲息条件が非常に似通っている。この手引書では、大多数を占めるキツネリスを扱うものとする。 

(訳注:山田はどう見ても立派なキツネリスだが、上記の棲息域にポテト市は入っていない。おそらく人間の手で持ち込まれて増えたのだろう。現在では西海岸の大都市にもキツネリスがいるそうだ。)

キ ツネリスは樹木を必要とするが、開けた土地も必要とする。彼らは風と日光が通りやすい疎らな木立や、小川に沿った細長い樹林を好む。孤立した黒胡桃や樫の 木に到達するために、半マイルまでなら草原や畑地を横切って移動する。人間が防風林、生垣、および作物(主としてトウモロコシ)を配置したため、開拓以前 よりもキツネリスの棲息域は拡大している。

しばしば赤リスとも「毛深い尻尾」とも呼ばれるキツネリスは、様々な目的で尻尾を使う。尻尾は身体のバランスをとり、日差しのきつい日には日傘となる。寒いときにはマフラーとなり、振り動かせば警報となる。

一 般にリスは極めて優秀な視覚を持ち、鬱蒼と茂った森の天井越しの微かな動きさえ感知する。聴覚と嗅覚も非常に鋭い。黒胡桃やヒッコリーの実を割って食べる 能力からも分かるように、常に伸び続ける歯と顎は恐るべき力と耐久性を誇る。足取りも確かで、樹の上を走り回っても滅多に落ちることはない。互いにふざけ たり追いかけあったりすることを好み、しばしば鳥や他の動物をからかって遊ぶ。

樹上に棲むリスは冬眠能力を持たない。特別に寒いときは数日間巣にこもって嵐が止むまで寝て過ごすが、完全な冬眠に入ることはない。生き延びるために、彼らは秋のうちに脂肪を蓄え、また保存しておいた食料を使いながら健康を保つのである。

リスの住居には二種類ある。樹の空洞に作られた長期の住み処と、葉で作った一時的なねぐらである。葉のねぐらは風雨や危険を避け、また子供を産み育てる場所として使われる。材料の葉は、巣をかける樹から直接集められる。

安全性に優れているのは、葉のねぐらよりも樹の空洞に作られた巣である。多くの場合、キツツキや腐った枝によってできた空洞に、リスが手を加えるのである。このような空洞もまた、子育てや、雨風と外敵から逃れるために使われる。

成 熟した雌は、一年に二回子供を産むのが普通である。通例、一度目は三月か四月、二度目は七月か八月である。繁殖の前には、雌は十分な食物をとって体力が充 実していなくてはならない。一度に生まれる子供は平均三匹で、妊娠期間は約六週間である。生まれたてのキツネリスは桃色がかった紫色で、鼻の周りの髭を除 けば無毛である。歯はなく、目は閉じられている。

一週間目の終わりまでには、体重が倍増して一オンスあまりになる。体長も一インチ増えて、約五インチ半になる。生後二週間で体毛が、三週間で歯が生え始める。

(訳注:1オンスは約28グラム。1インチは2.54cm。) 

生後四週間までには全身が毛に覆われる。五週間で目が完全に開き、体重三~四オンス、体長は約十インチになる。離乳は生後七週間から始まり、その後三~五週間で完了する。

リスが子供たちに餌を運ぶことはない。生後七週間ほどになると、子供たちは巣を出て、まだ頼りない足で木から木へと渡り歩いては若葉やつぼみを食べる。生後約十週間で、木の実やドングリを食べられるようになる。

子 育ては雌の仕事である。交尾から出産までは雄も同じ巣にいるが、子供が産まれると雄は追い出されてしまう。長い幼年期は、母親がすべて面倒を見る。母親は 獰猛なまでに子供を守り、他のリスはすべて巣から追い出してしまう。このような母親の努力により、幼いリスの生存率は驚くほど高い。

子 供たちが巣を離れた後になっても、母親は危険の接近を知らせることで彼らを守る。いよいよ一人前になった若いリスはしばしば数マイルに渡る旅をして、遂に 大人のリスとして一人で新しい生活を始める。しかし一部のリスは、冬になると古巣に戻って家族と共に春を待つこともある。

一 般に猟師の獲物となる動物の中で、リスは危険な寄生虫や疫病に冒されることが最も少ない動物の一つである。質の良い食料が十分に供給される限り、リスは健 康を保つのが通例である。またキツネリスには、天敵となる動物がほとんどいない。カンザスでキツネリスを襲うのは、鷹・梟・コヨーテぐらいのものである。

キツネリスの行動範囲は、巣のある樹の周囲二~三エーカーを超えないのが普通である。彼らは一年を通して、気に入った樹の近くだけで生活することが多い。

(訳注:1エーカーは4047平方メートル。) 
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一 日のうち、彼らが最も活発になるのは、食料を漁っているときである。通常それは早朝と夕方に行われる。日中はリラックスして昼寝をすることが多い。冬に備 えて木の実を集める時期になると、一日中働き続けることも多くなる。一日の活動の大半は、食料を集めることと安全を確保することで占められる。これらの基 本的な仕事が済んでしまうと、彼らは眠ったり、ノミを取ったり、ただ枝の上で手足を伸ばしてくつろいだりする。

 

リスの居住に必要なもの

キツネリスにとって好ましい棲息地に必要な三大要素は、以下のとおりである。

1.バラエティー豊かな食料。
2.量的に十分な食料。
3.十分な数の巣穴候補地。

 この三要素の一つでも欠けていたり不足したりすると、リスは激減もしくは消滅する。

食料--リ スの食事の基本をなすのは堅果(胡桃・ヒッコリー・栗など堅い殻のあるもの)とドングリである。リスは他にも様々なものを食べるが、普通は堅果の樹がリス の命の糧である。彼らが好むのはヒッコリーの実、ペカン胡桃、黒胡桃、そして白樫のドングリである。堅果の収穫は、実が形をなし始めた直後から始まり、秋 に実が固く成熟するまで続く。堅果が見つからないときに食べるのは、ハックルベリーに野生のサクランボ、楓や樅の種子、蕾や小枝、花や根、昆虫やその幼 虫、そしてトウモロコシやミロのような穀物である。リスは特に、まだ乳液状のトウモロコシを好んで食べる。放置された冬の畑地からも、リスは沢山のトウモ ロコシを手に入れる。リスはまた、キノコや潅木の種や蔓を食べることもある。堅果の樹に乏しい西カンザスでは、リスはよくハックルベリーの枝に出来た瘤や 樫の実、蜂蜜イナゴの群れ、露西亜オリーブの樹皮や果実、果ては野生ヒョウタンの種まで口にする。リスは特に気に入った切り株や枝を、毎回食事の場所にす ることが多い。堅果の殻や食べ物のカスが一ヶ所にまとまって見つかるのは、そのせいである。 

---リスは小川その他の自然水を自由に飲むことが出来るが、そのような水が簡単に手に入らない地域にもリスは棲んでいる。彼らが必要とする水の多くは、多汁質の植物から賄われる。極端な旱魃の時期にはそれすら不可能になるので、人工的に水を与えることも必要である。 

住居---リスが棲むためには、まず樹が必要である。ただ樹があるだけではなく、何種類かの樹が一緒に生えていなければならない。種類の違いだけではなく、若木や空洞のある老木など、あらゆる年齢の樹が必要である。厳しい気候を生き抜くために、巣穴の作れる樹は特に重要である。 

一 定の伐採量を維持するために管理されている樹林は、環境のバランスを見ながら伐採されるので、最もリスに適している。1エーカーにつき二~四本の老木が残 るよう注意すべきである。伐採のときには、ふさわしい時期の樹だけを切らねばならない。そのような樹木は、様々な年齢の木に混じって、樹林地帯のあちこち に散らばっている。野生動物のための食料を種類豊富に確保するためには、様々な種類の樹が必要である。このように注意深い伐採を行えば、緑天井のところど ころに日光の差し込む穴ができるため、潅木や草の生育に有利である。広大な樹林地帯よりも、細長い林のほうがリスには好ましい。生垣、防風林、そして川に 沿って残された木立は、キツネリスにとって一年を通して棲みやすい環境を生み出す。トウモロコシのような作物が付近の畑地で作られていると、さらに良い環 境になる。良き樹林の管理とは、すなわち良きリスの管理だと考えていいのである。

リスを管理するためには、樹林に対して次のような処置を行うとよいだろう。

1.伐採--生態系を考慮して適宜場所を変えながら伐採を行えば、リスだけではなく将来の伐採にも良い影響がある。 

2.放牧は慎重に--一ヶ所で放牧をしすぎると地面が剥き出しになり、樹木の再生を妨げ、現在生えている樹木さえ枯らしてしまうことがある。放牧を管理するために、樹林地帯は柵で守らねばならない。時間を厳しく制限して一時的な放牧を行えば、過密状態の樹林を適度な状態に戻すことが出来る。 

3.燃やしては駄目---カンザス州で樹林を燃やすことは禁止されている。樹林にとっても野生動物にとっても益が無いからである。 

4.老木を残しておこう---空洞のある樹は、リスを始め、巣穴を造る鳥類その他の動物にとって、半永久的な住居と避難所を提供する。1エーカーにつき二~四本の老木を目標に。 

5.樹林地帯、防風林、生垣などを維持しよう---現存する樹林地帯・防風林・生垣を維持し、必要な場所には樹木を補うべきである。 

カンザスにおけるキツネリスの数は、開拓以前より増えていると思われる。彼らはしばしば、人間の活動に上手く調和する生き物として、「農地の野生動物」と呼ばれてきた。しかし、人間が樹林地帯を壊し続けるなら、この調和は破られるであろう。

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土地使用管理局・各地の自然保存地帯・カンザス漁業狩猟委員会・カンザス州立大学協力推進室は、土地・水・植物・野生動物などの管理について、適切な助言を提供しています。