秘宝系
 
 「死霊のはらわた2」と「死霊のしたたり」のどちらを私は本当に見たいのか、タマシイの深みに向かって問いかけていると、となりに学生風のカップルがやって来た。西友の裏のレンタルビデオ屋、週末の夜。店内はハッキリと色分けされる。二人で過ごす時間のために映画を選ぶ人々と、人間より物語を好む群居しない生物と。身の周りの空間を歪ませながら食い入るようにビデオを選ぶ「物語派」にくらべると、「人間派」は賑やかだ。「あっ、オレこれ見たことある」「やだー、気持ち悪~い♪」(以後、互いの役割を手堅く演じつつ繰り返し。)自意識を滅却する修業が私にはまだ足りない。彼らの風景の中で自分が芝居の書き割り程度の存在でしかないと分かっていても、全てをシャットアウトして「気持ち悪~い♪」パッケージを見つめ続けるには根性が足りず、となりの「SF」の棚に逃げてしまったりする。ガキ、および「いい齡になっても正しく美しいラブストーリーや重厚かつヒューマンな人間ドラマを摂取できない人種」のために用意された二大ジャンルは、多くの店で隣り合って並んで(隔離されて)いる。しかし、ラブ&ヒューマン方面はともかく、それ以外の様々な方面では歳相応にスレてしまった人間が300円分きちんと楽しめるような作品となると、大きな棚の中でもそう簡単には見つからないのだった。「とりあえず宇宙か未来ならSFだろ」程度の志しか持たぬ作品が目立ち、店員の愛も商業的熱意もあまり感じられないデタラメなセレクションの棚をぼんやり見つめながら、私はひたすらに耐える。頼む、借りないんならとっとと消えてくれ若者よ…

 そんな苦労をして借りた「はらわた2」は、まあタイトルどおりの映画だったが、限られた予算を気迫とアイディアでなんとかしようというスタッフや無名の俳優たちの悪戦苦闘ぶりは、「ハイ、ここで感動!」という作り手の意図が透けて見えるような「一流」志向の作品よりも、はるかに真実の重みが伝わってくる…ような気もするのだった。山荘に取り残された主人公の青年が、最強の敵・「死霊に取りつかれた自分の右手」と闘うシーンは、まさに白眉と言えよう。なんせ特殊メイクならぬ「色を塗っただけ」の右手で自分の顔をペシペシ殴ったり、頭にお皿をぶつけては白目を剥いたり…笑いながら泣きました、私。