一人でいることは自分で選んだ。少なくとも、自分ではそう思っていたい。光る電子頭脳の顔のない顔だけに照らされた限定空間の夢は遥かむかし松本零士を初めて読んだ日から私の中に棲み続けてきた。思えばリンドバーグは気の毒な男である。黒曜石の無限の空と牙を鳴らす凍った海の狭間をたった一つの意識を持った極小の点として飛び続けること以外、大西洋上の彼には自分である方法がなかった。みずからそのような存在の仕方を選んだことを、彼も寒気と睡魔の波状攻撃の狭間のいくつかの瞬間には後悔したのだろうか?同じように一人でいることを選びながら、少なくとも私は彼のように強くはなれない。後の時代の飛行士たちの手記もずいぶん読んだが、無線装置が現れて以降、彼らの仕事場の風景はまるで変わった。迂回することを許されない積乱雲が月光に照らされ紫電をまとった巨大な峰の姿で前方に立ちふさがるとしても、空電に紛れガリガリと幽かに鳴り続ける電波の糸が今この瞬間、異国の管制塔の見知らぬ誰かとつながっているかぎり彼らは絶望から救われたはずだ。同様に、その生活の書かれない部分に私が興味をもたず、今後決して知ることもないであろう不可視の人々の精神および肉体活動から発したデジタルの言葉が、私の部屋では画面上の数限りない微細な光点となって進路をかすかに照らし出す。自分の座席の背後に人の群れの中ではとても使えないような爆燃性の液体がまだ大量に残されていることに私は感謝していいのか、悪いのか?しかし少なくとも今この瞬間の私には、それは喜ばしい事実である。夜間飛行は続く…続く…