少年少女とわたくし

昼下がり京成線に乗っていたら驚くほど可愛い女の子が乗り込んできて隣 に座った。しかし残念ながら彼女はまだ小学生である。通路を挟んだ反対側には、同じクラスらしい男の子が三人座って、四人は賑やかに話し始めた。五年生ぐ らいだろうか、このあたりの年ごろは面白いもので、女の子は既に子供とは違うナニモノかになろうとし始めているものの、男の子の大半は実にまあのんびりと 子供で、たまたまそうでない少年がいると、よく孤立してしまうのだ。現に向かいの三人組のうち二人は未だハナ垂れ小僧ともいうべき出鱈目な顔をしており、 四人の会話が途切れるやいなや上半身をねじ向けて窓の外を眺めるのに余念が無かったが、真ん中の一人だけは塾通いお勉強少年風の眼鏡の奥に早くも自我のご ときものが目覚めかけており、よく見ればまことに眉目秀麗、野球帽・半ズボン・ランドセルという格好がそろそろ似合わなくなる段階に差し掛かっていた。彼 だけは私の隣の鳶色の眼と髪を持った(混血らしい)少女を異性として意識しており、両隣のお子様が外の景色を指さしては顔を見合わせウキャキャとはしゃぐ のも少々煩わしげに、何やら物思いに耽る様子、そして彼女の方も彼が自分を意識していることは十分に意識しているようだった。こののち彼ら二人の間に紡ぎ だされるかもしれぬ物語を数年間に渡って延々と想像してもよかったが、常日ごろ非人情を旨とする私には少々しんどい仕事なので、知っていることだけここに 書いておいてあとは読者に下駄を預けてしまうのである。白状すれば、どちらかというと私はいまだにハナ垂れ小僧の部類なのですよ、うきゃきゃ♪